先週リリースした小冊子シリーズから、「はじめに」を転載します。
『ブックレット』創刊?に寄せて
かねてよりZINEを作りたいと思っていて、いざ何を題材にしようかと考えているうちに、自分が作りたいものは別の呼び方の方がしっくりくるような気がしました。
それがブックレットで、9月に引っ越してからCDプレーヤーを買って、CDをまた聴くようになって、洋楽の邦盤に入っているライナーノーツの存在にあらためて目を向けたのでした。
ライナーノーツがいいのは、本や雑誌に載るような内容よりも書く対象と密接なところ。CD(=音楽)とセットになっているのが明らかな違いとしてあります。
ライナーノーツには、アーティストと別の人が書く場合と、自分たちで書くセルフライナーノーツがあり、インフォグラフィックに対してこれをやってみたいと思いました。
インフォグラフィックは「一枚絵でわかる」ことを利点として強調されがちですが、作っている身からすると、一枚絵に入りきらないこともたくさんあって、裏を返せば一度に「わかる(=消化できる)」分量の情報を一枚に収めているだけとも言えるのです。
だとしたらインフォグラフィックに使わずに手元に残る情報もただ捨て置いておくよりも、なんらかの形でパッケージして副読本のようにして届けることも必要なんじゃないかと考えました。
それで、インフォグラフィックを作るために集めた資料やら走り書きやらを再編して、ブックレットの形態でまとめることにしました。
ちなみにブックレット──日本語で言うところの「小冊子」の定義は、文部科学省のサイトに載っていて、1964年にユネスコ総会で採択された内容として、次のようにあります。
小冊子とは、いずれかの一国で出版され、かつ、公衆の利用に供される少なくとも5ページ以上48ページ以下(表紙を除く。)の印刷された非定期刊行物をいう。
これに準じて、5〜48ページをまとまりとした冊子を作ってみようと思います。でも誰が読むのだろう? そう思わないこともありませんが、これまで生産過程で捨ててしまっていた材料にあらためて価値を見出して料理してみることは、コンテンツ消費のあり方、コンテンツ生産のあり方を見直すきっかけになるような気がしています。