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ビジュアルコミュニケーションを重視。オーツミルクの会社「Oatly」

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ビジュアルコミュニケーションを重視。オーツミルクの会社「Oatly」

スウェーデンの会社「Oatly」によるインフォグラフィック活用事例を紹介します。

櫻田潤 | VISUALTHINKING
Mar 22, 2023
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ビジュアルコミュニケーションを重視。オーツミルクの会社「Oatly」

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世界のインフォグラフィック事例を紹介

世界にはインフォグラフィックの活用事例が日本以上にあります。このシリーズでは、海外での活用シーンを紹介していきます。

初回、取り上げるのはスウェーデンの企業「Oatly」です。

Oatlyとは?

Oatlyはオーツミルクをメインプロダクトとする会社です。オーツミルクとは、オーツ麦から作られた植物性のミルクのことで、牛のミルクと比べ環境負荷が低く、代替ミルクとも言われます。

2021年の上場時にSEC(米国証券取引委員会)へ提出した目論見書によれば、Oatlyのミルク1リットルあたり、通常のミルクと比べて、温室効果ガスは80%、土地利用は79%、エネルギー消費は60%削減できるとしています。

ビジュアルコミュニケーションの特徴

Oatlyはパッケージはじめ、従来のミルクに対してオルタナティブなイメージを全面に打ち出したデザインが特徴的です。

Oatlyサイト

でももともとは、ここまで尖った打ち出しをするブランドではありませんでした。オーツ麦から牛乳に代わる栄養が作れることを発見したRickard Östeが兄弟のBjörn Östeと、アレルギーやさまざまな理由で牛乳を飲めない人に向けて商品化したのが始まりで、2012年にToni PeterssonがCEOに就任するまでは一般的な食料品ブランドと変わらないイメージで売っていました。

新しいCEOは旧知のJohn Schoolcraftをチーフ・クリエイティブ・オフィサーに招くと、Oatlyのイメージを食料品ブランドからライフスタイルブランドへ変えていきました。

その際、重要視したのがパッケージで、たくさんの広告宣伝費を使う代わりに、商品パッケージをオウンドメディアと位置付け、側面に伝えたいことをぎっしりと詰め込みました。

画像:Oatly

ブランドにとって重要なのは、一貫性です。Oatlyはこの世界観を、“堅苦しいはずの”IR資料にも反映しています。

画像:Oatly決算資料

インフォグラフィックの活用

ビジュアルコミュニケーションに力を入れるOatlyは、2021年版のサステナビリティ・レポートの冒頭で、各種データのサマリーを伝えるのにインフォグラフィックを使っています。

画像:Oatlyサステナビリティ・レポート

Oatlyのインフォグラフィックの面白いところは、情報をクリアに伝えるという「情報の価値」を維持しながら、オルタナティブな世界観も訴求しようとしている点です。

基本的にざらついた加工やアナログ感のある表現は、決して見やすいものではありません。Oatlyのデザインからは、インフォグラフィックとしてのわかりやすさよりも、「見たいと思う人だけ見てくれ」という割り切りは感じるものの、と言ってまったく情報性を無視しているかと言うとそんなこともなく、しっかり構造化されています。

肝になっているのは色数で、白・黒・グレー・水色の4色が規律をもって使われています。

一方、決算資料に関しては、サステナビリティレポートとは位置付けが多少異なるところもあり、もう少しわかりやすさを意識したデザインになっています。

全体の世界観に統一感を持たせながら、こうした表現の使い分けをしている点が参考になると思います。


今回のニュースレターは、ビジュアルシンキングの記事「世界のインフォグラフィック活用事例:オーツミルクの「Oatly」」を再編集してお届けしています。

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