『ビジュアルシンキング』で公開した新着コンテンツを、セルフライナーノーツと一緒にお届けしています。制作の中で感じたことや、こぼれ話などをお楽しみください。
✍️ライナーノーツ
配色の妙
サッカーの配信映像の中で、プレミアリーグが飛び抜けてかっこいい。アメリカのメジャーリーグサッカーもいいけど、どれか一つ選ぶとなるとプレミアリーグだ。
ロゴや配色、フォント、そして試合映像の作り込み。光の加減や音楽、順位表やスコア表示、場面切替時のアニメーション──。
1992年設立のプレミアリーグがブランド戦略を見直したのが、2016年。その後、いくつかのアップデートを経て、現在の形になっています。これらに関わったのが、ブランドコンサルティング会社のrobin、ブランドエージェンシーのDesignStudio 、Nomadなどです。
プレミアリーグは、目まぐるしく展開するスピーディーなサッカーが魅力で、才能とエネルギーに溢れるリーグです。でも、robinが行った分析では、儲け主義で、よそよそしくて、利己的な印象を持たれている懸念がありました。
そこで彼らは、リブランドにあたって、ファンやクラブ、パートナー、社会との間にポジティブで感情的なつながりが生まれるようなブランドづくりが必要だと考えました。
たとえばプレミアリーグのロゴは、クラシカルなライオンをシンボルにしていましたが、シンプルでアイコニックなデザインに変更され、伝統を継承しながらも現代的で、アナログ、デジタル問わず様々なシーンにはまるものになりました。
色や柄のパターンも統一され、それらはプレミアリーグの持つエッジやエネルギー、才能を表現しています。
ここですごいと思うのは、それぞれ強い色でありながら、プレミアリーグのキーカラーである紫の印象が残ること。いろんなチームのユニフォームやエンブレムと組み合わせて使うことも多いので、そこでの調和と存在感も必要です。
色の話で言えば、プレミアリーグによる人種差別反対のキャンペーン「No Room for Racism」の白黒もよく考えられています。
人種差別に限らず、差別に対する取り組みや、多様性に関するキャンペーンでは、虹色に代表されるカラフルな配色が採用されがちです。
たとえば、以前記事に書いたスペインのラ・リーガの取り組みでは、多様な属性を表現するのに色を使っています。それに対して、プレミアリーグがあえて白黒表現を使ったのにはとても驚きました。プレミアリーグのもともとの鮮やかな色展開の中で、この白黒はとても目立ちます。
そんな白と黒で表現されたプレミアリーグの人種差別反対の取り組み「No Room for Racism」も開始して5年。そもそもの成り立ちやアクションの骨子を知っておこうと思い、調べてみたのでどうぞ。
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