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背景を知るということ
「今日は、国際○○デー」──そのようなアナウンスを目にしても「そうなんだ」「○○について気にしなきゃ」くらいで済ませていた。
あらためて調べてみると、国際デーは全部で203個ある。その中で、よく目にするものだと「国際女性デー」があります。3月8日──メディアがこの日にちなんで特集やイベントを組むのは珍しくなくなりました。
でも恥ずかしながら、「国際女性デー」がどうして「3月8日」なのかは知らずに過ごしていました。この機会にと思って、国連広報センターの記事とInternational Women's Dayの記事で歴史を辿ってみた。
それによれば、アメリカで1909年、前の年にニューヨークで女性の労働条件改善や選挙権を求めるストライキがあった2月28日を「全米女性の日」としています。
続いて、1910年にデンマークのコペンハーゲンで開催された働く女性の国際会議(17カ国の女性100人以上が参加)で、「国際女性デー」のアイデアが出て、満場一致。翌1911年、3月19日にオーストリア、スイス、ドイツ、デンマークで初めて「国際女性デー」のイベントが行われたとのこと。
3月8日が出てくるのは、第一次世界大戦を迎える1914年前後。1913年、ロシアで戦争反対の平和運動の一環で「国際女性デー」の行事が2月の最終日曜日(グレゴリオ暦で3月8日に当たる。当時ロシアはユリウス暦だった)に行われる。1914年、他のヨーロッパ諸国でも3月8日頃に戦争反対や連帯の集会が開かれた。
そして1917年、ロシアの女性が再び立ち上がり、2月最終日曜日に「パンと平和」を求めて抗議とストライキを行い、4日後にロシア皇帝が退位。暫定政府は女性の選挙権を認めました。
これらを背景に、1975年に国連は3月8日を国際女性デーと定め、今日に至っています。でもまさかロシアの女性の行動がこの日に関係していたとは、知りませんでした。
「3月8日は国際女性デー」──このフレーズだけで見聞きしていた情報も、背景を知ればまた違った興味が湧いてきます。入口は「国際デー」でも別の情報が出口になり得る。何かを掘り下げる面白さはそこにあると思います。
たとえば、3月21日は「国際人種差別撤廃デー」となっていますが、その背景には何があったのでしょうか?スペインサッカーの人種差別撤廃の取り組みとあわせてどうぞ。
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