Vol.41:伝えていきたいこと
昨年3月に『インフォグラフィック制作ガイド』を出版して、一年が経ちました。
本を出して終わりにするのではなく、出してからが大事。そう思いつつも、本を作ることにエナジーを使い果たして、出版後に大きな動きがとれたかと言うと、自分のことながら疑問符だらけです。
とは言え、もう一年。少しずつエナジーを充填し、前回お伝えしたように、サイトもリニューアルして、新しいことに取り組み始めているところです。
そしてその第一弾の動きとなるのが、「メトロマップ」シリーズの開始。
たとえば、サッカー日本代表のワールドカップ招集メンバーの背番号が誰から誰に受け継がれていったかを路線図であらわすと──
これは昨年12月に、同じ内容で一度作ったことがあったのを、時間をかけてブラッシュアップして、印刷にも耐えられるデザインにしたものです。
こうした路線図デザインへの思い入れは深く、インフォグラフィックを好きになったきっかけの一つでもあります。
それをなぜ今になって取り組もうと思ったかと言うと、近頃のインフォグラフィックの使われ方が、インスタントに情報を伝えることに寄り過ぎているように感じるからです。
もともとインフォグラフィックは、特に紙媒体時代のものがそうなんですが、美しさを感じるものも少なくありません。それが機能性ばかりが用途として強調されるあまり、情緒を感じるものが減ったように思います。
さらにはAIで生成したものも出てきて、わかりやすく要約して画像にしたものがインフォグラフィックというような感じにもなっていて、その流れにつまらなさを感じるので、だったらそういうのと違うベクトルのインフォグラフィックをやろうと思って、このシリーズをはじめました。
もちろん、インフォグラフィックなので「情報」がベースになるのは外せません。でも、そこに「情緒」が組み合わさっているのがインフォグラフィックの魅力で、「情報」と「情緒」のバランスをいかにとるのかが作る醍醐味。
書籍で伝えたかったのもそこでした。本の中だけで言っていても、それは広がらないと思うので、自ら実践して事例となるものを作って、インフォグラフィックの魅力をあらためて伝えていきたいと思います。