スポンサー企業のここに注目
昨シーズン、プレミアリーグのノッティンガム・フォレストはユニフォームのメインスポンサーが決まらず、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とチャリティーパートナーシップを結んで、ユニフォームの前面にロゴを載せていました。
プレミアリーグに昇格して2シーズン目となった今シーズンも開幕時点で契約が決まっておらず、スポンサーなしのロゴを着用していましたが、8月の終わりにKaiyun Sportsとのパートナーシップが発表されました。
ノッティンガム・フォレストのリリースでは、Kaiyun Sportsは「リーディング・デジタル・スポーツ・プラットフォーム」とあります。一方、The Athleticの記事によれば、マン島に拠点を置くオンラインギャンブル運営会社TGP Europeを通じて英国ギャンブル委員会からライセンスを受けているベッティング・サイトだとあります。
プレミアリーグの影響力の高さから、ユニフォームにギャンブル企業のロゴが掲載されることは問題視されており、プレミアリーグは今年4月、26/27シーズンからギャンブル企業の胸スポンサーを禁止することを決定しました(袖スポンサーはあり)。
その過渡期とは言え、UNHCRへのチャリティーから、ギャンブル企業にロゴが切り替わったのはプレミアリーグの現状を表す象徴的な出来事でした。ノッティンガム・フォレストに限らず、今シーズンのプレミアリーグでは20チーム中8チームがギャンブル企業をユニフォームのメインスポンサーにしています。
いつからなのか?
ここ数シーズンのプレミアリーグを見ていると、BK8、betway、Stake、W88、SBOTOP、HOLLYWOODbets、dafabetといったロゴはお馴染みです。
過去にさかのぼって調べてみると、ギャンブル企業が胸スポンサーに最初に登場したのは2002/03シーズンで、フラムとBetfairの契約でした。
BBCの2018年の記事によれば、2005年にギャンブル法が施行され、テレビやラジオでの広告が許可されたことでギャンブル企業のスポンサーは増えていったようです。
このBBCの記事は、リーグ発足の1992/93シーズンから2018/19シーズンまでの胸スポンサーを調べていて、エレクトロニクス/テクノロジー、金融、アルコール、ギャンブルの4カテゴリーの企業が全体の60%を占めていたとレポートしています。
90年代強かったのが、エレクトロニクス/テクノロジー系でJVC(アーセナル)、NEC(エヴァートン)、brother(マンチェスター・シティ)、SHARP(マンチェスター・ユナイテッド)などがスポンサーしていました。
金融系は2000年代に増え、金融危機があったにも関わらず、2010/11シーズンにピークを迎え、20チーム中8チームを占めるまでなりました。現在まで続く、リヴァプールとStandard Charteredのパートナーシップも2010/11シーズンから始まりました。
その次に主流になったのがギャンブル企業で、今後2シーズンでその波が終わった後、代わる業界があるのか、その兆しはまだ見えません。